アルムの塚をめぐってヌァザとフィン・マックールが土地争い?

2017年10月7日

ヌァダという名まえには「幸運をもたらす者」とか「雲を作る者」という意味があるようです。ヌァダには、病を治す力もあり、水に縁のある神でもあります。ローマの支配下にあったブリテンのグロスタシャーに、ノドンの神に捧げられた寺院がありましたが、この神はヌァダと同じとされています。またセヴァン河のほとりのラドネイ(《ラド》はヌァダの語源《ヌド》と同じ)に、ヌァダの神を祀った寺院の跡がありますが、病気の治る霊験あらたかな場所として、病人たちはヌァダの像のそばで一晩眠れば病気は治り、子どものほしい女の人は、そばの泉に針を投げ入れてお願いすれば、子どもが授かると信じられ、薬師如来に似たご利益があったようです。『ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)』 井村君江(著)

さて、この銀の腕のヌァザと、フィアナ騎士団のフィン・マックールとの間には、血縁関係があるようだ。

フィンの母・白い首のマーナ

フイン(Finn)は、アイルランドの神話伝説中における多くの主人公と同じように、ダーナの一族にその祖先をもっていた。フインの母は、「白い首のマーナ」(Murna of the White Neck)と言った。そして彼女は「銀の腕のヌアサ」の孫娘であったのである。フインの父は、トレンモオア(Trenmor)の息、カムハル(Cumhal)であった。『世界神話伝説大系41 アイルランドの神話伝説2』(名著普及会)

それで、母を通じてヌァザに連なるフィンは、シー(異界の塚)をめぐってヌァザと所有権を巡って争ったことがあるらしい。

アレンの丘を巡って

以下『ケルト神話・伝説事典』ミランダ・J. グリーン 東京書籍 より引用、そして読んだ当時の叫び。

ヌァザ(Nuadu)

やがてダーナ神族がアイルランドの次の侵略者であるミールの息子たち(ミレー族=ゲール人)に地下に追いやられてから、ヌァザはアルムと呼ばれるシー(異界の塚)をもつが、のちにフィンに奪われる。

モイトゥーラで死んでなかったのか!?

フィン・マックヴォル(Finn mac Cumhaill)

ある物語ではフィンはダーナ神族の神ヌァザに対し、アルムの塚(シー)の支配を賭けて挑み、勝ち取ったという。

ある物語ってどれですか!?(真剣)

――となりました。うーむ……。

ヌァザはアレンの丘の所有者だった?

Ailech, Oileach, Grianán Ailig

According to some traditions Nuadu Airgetlám is buried here.

A Dictionary of Celtic Mythology (James MacKillop)

(マー・トゥーラ第二の戦いで死んだらしい)ヌァダはAilechに埋葬されているらしい。

けど、普通にフィニアンサイクルに顔出しているかもしれない銀の腕のようです。アレンの丘が出てきます。(下記)

Nuadu may also play a role in the Fenian Cycle, perhaps confused with Nuadu Necht, the Leinster ancestor-deity. He is thought to have married Eithne (1) (elsewhere the mother of Lug Lámfhota) to found the family line that forms the maternal ancestry of Fionn mac Cumhaill. Additionally, Nuadu was thought to be the original owner of the fortress at the Hill of Allen [Almu, etc.], also attributed to Tadg mac Nuadat, a ‘son’ who may be an alias for the father. Nuadu is one of three prophets of pre-Christian religion, along with Goibniu and the shadowy Mathu. Another attributed consort is Fea, a war-goddess. Oral tradition has him buried at Ailech in Co. Donegal.

Nuadu Airgetlám – A Dictionary of Celtic Mythology (James MacKillop)

アレンの丘の所有者だったらしいドルイド僧で、Nuadu Necht の息子というTadg mac NuadatがNuaduの……?

Tadg mac Nuadat

In variant texts, Fionn overcomes Tadg to occupy the Hill of Allen (Almu). Some commentators feel that Tadg is but an alias for Nuadu himself.

A Dictionary of Celtic Mythology (James MacKillop)

フィンの母の嫁拐い事件?

というかWikipediaで、Tadg mac Nuadatの項目を読むとフィンの母親のモーナってフィンの父親クールに誘拐されてるらしいんですが。

ルーグもデクティネを誘拐まがいの印象が拭えないし、クーフリンはエウェルの父フォルガル・マナハの砦を攻めて金銀財宝と乳母と姉とエウェルを嫁泥棒するし、おまえもか。

Tadg had a daughter, Muirne, who was sought after by many suitors, including Cumhal, leader of the fianna, but he refused them all, having foreseen that his daughter’s marriage would result in the loss of his ancestral seat. But Cumhal abducted Muirne, so Tadg appealed to the High King, Conn of the Hundred Battles, who outlawed and pursued him.

Tadg mac Nuadat – Wikipedia

そしてなんか、フィンを妊娠したことで、Tadg(父親)から燃やされそうになってるモーナ嬢……。

Tadg rejected her and ordered his people to burn her, but Conn prevented this and sent Muirne away into the protection of an ally.

モーナに求婚してた内の一人がクールだったそうですが、Tadgが全員を拒否った理由は、どうやら娘の結婚で不吉な予言がされてたようですね、この記事によると。
もうちょっとちゃんと読みたい・調べたいですが、英語がどうも読めないもので……。

百戦のコン王に助けられたモーナは、無事フィンを出産して後、フィンはご周知の通り英雄街道を歩きます。

クールを殺したゴルから、騎士団の指揮権を取り戻し……なんですが、

Muirne’s son, Fionn, was born and brought up in secret, and when he grew up he took the leadership of the fianna from Goll, and demanded satisfaction for his father’s death from Tadg, threatening war or single combat if he was refused. Tadg offered him his residence on the hill of Almu, and Fionn accepted.

意訳すると「父親殺されたんだ、賠償しろよ。(断ったら戦争、または一騎打ち)」とうぃきぺでぃあには……ですね……?

そして、(賠償として)アレンの丘を提供し、フィンが受け入れた、ようだ?

…………?

ヌァザと争ったんじゃなくて、もしかして、Tadgと争った話…のような気がする?

アレンの丘の下に眠るフィンの骨

話はそれてしまいますが、いろいろネサフしてたらこんな話題を見つけた。

In 1859 Sir Gerald Aylmer of Donadea Castle, began building a tower on the summit of the hill. The tower was circular and had an internal staircase which lead to a glass-domed platform at the top. There were Latin inscriptions in the tower and the names of those who helped construct the tower were engraved on the steps of the staircase. While the tower was being built, giant human bones were discovered, and were said to be those of Fionn MacCumhaill. Sir Gerald ordered that they be re-interred in a hollow space under a rock.County Kildare – Miscellaneous Sites – The Hill of Allen

丘の頂上に塔を建てようとしたら、巨大な骨が発見されたので「フィンの骨」と言われたようです。

と思ったら、

Another tradition states that he is buried in the crypt of Lund Cathedral in present-day Sweden.Fionn mac Cumhaill – Wikipedia

とスウェーデンの、ルンド大聖堂の下という話も?
というので、ルンド大聖堂のページを見てみると要出典のようです。

で、地下室にいるというフィンですが、Fin (troll) に写真がありましたのでどうぞ~。

まあ、アレンの丘で発見された人骨もなんだかなって感じではありますが(笑)

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櫟野もり(Ichino Mori)

ゲームばかりしながらアイルランド神話関係の雑記を書いたりしている。
今やってるのは「FGO」と「FF15」。

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