クー・フリンにモデルは居るか? Louth の abbot の Cuanu(825年没)

2018年8月17日

松岡 利次 『クー・フリン物語はファンタジーか?』 (2007年度アイルランド研究年次大会プログラム) エール (28), 2008年, p.125~127

国立国会図書館の遠隔複写サービスで取り寄せて読んだところ、クーフリンのモデルじゃないかと言われていた人物の名が書いてあった。

1970年代から、『クアルンゲの牛捕り』は物語が実際に書かれた8-9世紀の政治寓話であるとする論が出始め、80年代までそのような論が続いたそうである。そして、その先掛けのひとつとして John Kelleher, “The Táin and the Annals” Ériu 22, 1971 をあげる。

こういうことを言っていたらしい。

『クアルンゲの牛捕り』が9世紀の政治寓話であり、物語の場所は Louth で、作者は Louth の abbot の Cuanu(825年没)であり、アーマーをめぐる改革派対守旧派の対立を描いていて、Cuanu 自身がクー・フリンにあたり、彼は一人で守旧派に対抗したととる。
松岡 利次 『クー・フリン物語はファンタジーか?』 エール (28), 2008年

モデルが居たかどうかを特定するのは難しく思うのですが、物語が政治的な寓意を含むことは踏まえておきたいかな……と。ただ、『クアルンゲの牛捕り』を政治寓話として読むだけでは面白くないと思います(だって物語なのだし)。

Cuanu という人がさっぱり分からなかったので、わかる範囲で調べてみた

専門家じゃないですので、できる範囲で……。
一応、Kelleher の論文も読もうと努力した、んです、よ。

Louth はどこ

ラウス(Louth)州はアイルランド北東部にあり、レンスター地方に属しています。
Louth という村がラウス州の名前の元になったようだ。 → Louth, County Louth

Cuanu は、ラウス村に居たのでしょうか。

なお、ラウス州は ダンドーク(Dundalk)を州都としています。
ダンドークにはクーフリンの砦がありますね。

Cuanu は何に記録が残っている?

Cuanu という人について、『アルスター年代記』(The Annals of Ulster)818.4 に記述がある。

U818.4
Cuanu, abbot of Lugmad, went into exile into the lands of Mumu with the shrine of Mochta.
The Annals of Ulster

Lugmad はラウス(Louth)のこと、Mumu は今で言うマンスター(Munster)のこと、です。亡命したようですね。
abbot なので修道院長?……ちょっとそこはよくわかりませんでした。(´・ω・`)