『古代アイルランド文学』マイルズ・ディロン(オセアニア出版)

2018年8月18日

マイルズ・ディロン 著, 青木 義明 訳 『古代アイルランド文学』 オセアニア出版(1987)
〈Myles Dillon, Early Irish Literature, The University of Chicago Press, 1948〉

……を、読んだよ記録。

読んだのは日本語に訳された方だけです、原著手に入れてないです(´・ω・`)

目次

  • はしがき
  • 序章
  • 第一章 アルスター物語群
  • 第二章 フィーニアン物語群
  • 第三章 神話物語群
  • 第四章 歴史物語群
  • 第五章 冒険物語
  • 第六章 航海物語
  • 第七章 幻想物語
  • 第八章 古代中世アイルランド詩
  • 訳者あとがき
  • 索引

索引は原著にはなかったようだが、訳者が作成してくれたようで、とても便利です。

目次(章別)

章内の見出しが目次になかったのでメモしておく。

第一章

  • Ⅰ クーリィの牛奪り(p.16)
  • Ⅱ ウスナハの息子たちの流浪(p.31)
  • Ⅲ イーファのひとり息子の悲劇的な死(p.38)
  • Ⅳ ブリクリュの饗宴(p.41)
  • Ⅴ ウァ・デルガの館の崩壊(p.52)

第二章

  • Ⅰ 故老会談(p.72)
  • Ⅱ ディアルマッドとグラーニャの追跡(p.84)

第三章

  • Ⅰ エーダンへの求愛(p.103)
  • Ⅱ モイチューラの戦い(p.110)
  • Ⅲ リルの子たちの悲劇(p.117)
  • Ⅳ 二つの牛乳差しの館の滋養(p.124)

第四章

  • ロウリー・リーンセッフ(p.135)
    • Ⅰ ディン・リーの崩壊(p.136)
  • ルゥイー・マク・コンとコーマック・マク・アート(p.141)
    • Ⅱ マー・ムクラヴァの戦い(p.142)
    • Ⅲ ブヘットの館の音曲(p.152)
    • Ⅳ 清澄なる声のベーラの物語(p.155)
  • レンスター王ローナーン(紀元六〇〇年頃)(p.157)
    • Ⅴ ローナーンの息子メール・フォサルテーグの死(p.158)
  • アーンミルの息子、ドムナル・マク・エー(紀元六二八年〜六四二年)(p.171)
    • Ⅵ スゥイーニの狂気(p.173)

第五章

  • Ⅰ コンレの冒険(p.187)
  • Ⅱ フェバルの息子ブランの冒険(p.191)
  • Ⅲ 亡霊の狂気(p.196)
  • Ⅳ コーマックの冒険(p.199)
  • Ⅴ コンの息子アートの冒険(p.204)
  • Ⅵ レーアラの冒険(p.211)
  • Ⅶ クー・フランの病臥とエヴァの唯いちどの嫉妬(p.214)

第六章

  • Ⅰ メール・ドゥーインの航海(p.229)
  • Ⅱ クーレイ・ウァ・コーラの航海(p.236)
  • Ⅲ スニーガスとマク・リアグラの航海(p.237)

第七章

  • Ⅰ アダムナーンの幻想(p.241)
  • Ⅱ マク・コン・グリーニャの幻想(p.253)

第八章

  • Ⅰ 初期抒情詩(p.268)
  • Ⅱ リーアダンとクーイルスィルの逢瀬(p.305)
  • Ⅲ 吟唱詩(p.312)
  • Ⅳ 後期抒情詩(p.341)

読んだ後で

あとがきでも触れられているが、

筆者の意図するところは、アイルランド文学全般の歴史を概観することではなく、また文学批評を心がけたものでもない。アイルランド文学について、今日まで遺されているなかで最も秀れた作品を選んで、これらを体系的に概説したものにすぎない。筆者としては、本書がアイルランド文学とはいかなるものであるのか、その内容と形式について、一般読者の理解に裨益するものとなれば幸いである。

とあるように、初期アイルランド文学作品の全般を扱っているので、アイルランド神話好きが手にとってハッピーになれる本である。得るものが多かった。

歴史説話群(王の物語)は、日本語で書かれた他の神話の本だとあんまり触れないかな……? っていう話も多いので読むことができてラッキーだった。「ローナーンの息子殺し」とか、「スヴネの狂乱(スゥイーニの狂気)」とかかなり面白いと思うんですけどねえ。

著者マイルズ・ディロンは「古代中世アイルランド詩」についての章にかなり力を入れて書いているようだが、残念なことに私の読み手としての力が足りず……文章の中の単語から、まず「わからない……」のオンパレードだったので、いずれ勉強して出直したいと思う。

もっと読んでみたい人へ

再販されるのが望み薄なのが大変残念。繰り返しになるが、アイルランド神話の知識を得たい人が読むのにかなりよさそうなだけに、残念。

アイルランド文学史の本はそこそこ見つけられるが、初期アイルランド文学に限るとなると、あまりない。ラインナップが確かに有名どころを押さえるのに適している……。

この本の他で、初期アイルランド文学の話も比較的多くて、読んでみてと勧めるなら松岡利次 『アイルランドの文学精神 7世紀から20世紀まで』 岩波書店(2007)だろうか。(書名から出版社のページにリンクしています)

現状、『古代アイルランド文学』を手に入れるのは古書(読むだけならば図書館)に頼ることになるので、『アイルランドの文学精神』を手にとってみるのも個人的にはおすすめ。

 

『古代アイルランド文学』「幻想物語」の章で出てくる作品については、同じく松岡利次『ケルトの聖書物語』 岩波書店(1999)でも触れていることが多いので、こちらも併せて読むことをおすすめする。

「スゥイーニの狂乱」はシェイマス・ヒーニーによる翻訳が日本語訳されています。

シェイマス・ヒーニー, 薬師川虹一・坂本完春・杉野徹・村田辰夫 訳 『さ迷えるスウィニー』 国文社(2012)

さて現代アイルランド文学へ……ってなったとき、いやそうでなくとも、初期アイルランド文学の物語を素材、元ネタにしているものって割と多いんじゃないかな。知ってると読む時に助かります。あとゲームする時もですね。すごく楽しいです(笑)

リンク

Myles Dillon - Wikipedia