ケルトの歴史・文化についての初の総合事典!『ケルト文化事典』(東京堂出版)

2018年7月31日

2017年5月に東京堂出版から出版されたこの事典、「ケルトの歴史・文化についての初の総合事典」とあるのが熱い。

日本国内においても、ケルト文化領域を扱った書籍は、専門性の高いものから一般的なものまで、相当数の量に達している。辞典や事典に限ってもそれなりの数が揃っているといえるかもしれない。ところが、それらのすべては外国語による辞典や事典を日本語に翻訳した版で、日本人研究者自身によって編纂・執筆されたものはまったく見当たらない。わが国のケルト学の進展ぶりが事典に反映されていないのは残念なことと思われる。
この事典は、そうしたケルト関連書の出版事情を振り返り、日本人研究者の執筆による独自のケルト文化事典刊行の必要性を痛感したところから、企画が始まった。

と、まえがきにあるように、本邦初である。

引く事典というよりは読む事典といった感じで、一つ一つの項目が簡潔・平明に書かれており理解しやすい。

リンク ケルト文化事典 - 株式会社 東京堂出版

目次を読む

この事典の構成は次のようになっている。

Ⅰ 総記
Ⅱ 歴史・考古・言語
Ⅲ ケルト社会
Ⅳ 宗教
Ⅴ キリスト教との合一
Ⅵ 生活・民俗
Ⅶ ケルト美術
Ⅷ ケルト圏文学1 初期・中世
Ⅸ ケルト圏文学2 近現代
Ⅹ ケルト復興
Ⅺ ケルトの伝統と現代

『ケルト文化事典』はこんな事典

分野別に並んでいる

この事典、あいうえお順とかアルファベット順にはなっていない。
領域別に内容理解の便宜性や内容の関連性・一体性を考慮したものにした。 と凡例にあるので、順に読み進めると理解しやすくなっている というのがおすすめするポイントだ。

一つ取り上げれば、「神話物語群」の項目の次には、『アイルランド侵寇の書』→『エーダインへの求婚』→『マグ・トゥレドの戦い』と並んでいる。
あいうえお順に並んでいたなら、これらは離れ離れになってしまうが、こういう「まとまり」があるから本当に「読む事典」となっている。

興味のある分野をじっくり読んでいくと、なかなか読み応えがあった。一つ一つの項目がコラムのようで、内容に連続性があるから、初心者でも読んでて疲れにくいんじゃないかと思う。

日本人研究者の手による執筆、最新の研究成果が反映している

この事典が出るまで、日本語で読めるケルト事典と言ったら外国語による辞典や事典を日本語に翻訳した版しかなかった。
例えば、ベルンハルト・マイヤーの『ケルト事典』(2001)や、ミランダ・グリーンの『ケルト神話・伝説事典』(2006)だ。

 

他にジャン・マルカルの『ケルト文化事典』(2002)もある。

一番新しいミランダ・グリーンの事典でも2006年である。(原著Dictionary of Celtic Myth and Legendが出たのは1992年)
日本でもケルト研究は盛んにされているので……それらが事典といった形で出たのは、一般読者にとってはとても嬉しい。

……というわけで、この事典おすすめです!

ぼく
ぼく
楽しいケルトライフを!

この記事で紹介した書籍一覧

  • 木村正俊・松村賢一 編 『ケルト文化事典』 東京堂出版(2017)
  • ベルンハルト・マイヤー, 鶴岡真弓 監修, 平島直一郎 訳 『ケルト事典』 創元社(2001)
  • ジャン・マルカル, 金光仁三郎, 渡邉浩司 訳 『ケルト文化事典』 大修館書店(2002)
  • ミランダ・グリーン, 井村君江 監訳, 渡辺充子, 大橋篤子, 北川佳奈 訳 『ケルト神話・伝説事典』 東京書籍(2006)