『トーイン クアルンゲの牛捕り』キアラン・カーソン(東京創元社)

2018年6月21日

出版社のサイトから試し読みが可能になっている。が、在庫はなし……絶版状態……(´・ω・`)
なので、図書館で探して読んで欲しい。

リンク トーイン クアルンゲの牛捕り - キアラン・カーソン/栩木伸明 訳|東京創元社

だがしかし、ケルト神話読みたい!となった人が一番最初に読む本として選ぶのは、勧めないかな、と個人的に思っている。ある程度話の筋や主人公のクーフリンについて知識を得てからのほうが、より面白く読むことが出来るのではないだろうか? と。

読み手にある程度、楽しむための準備、予備知識がある方がいいと思うのです。

この本は「ケルト神話の」最初の一冊に選ぶより、二冊目以降におすすめしたい本かな。

日本語でトーインの物語の全てを読もうとしたら今はこれしかない!

(英訳して更に日本語に翻訳した重訳になるが2018年5月現在)

この叙事物語にクー・フリン好きは絶対に触れてほしいなあと思うんだ……トーインは押さえておくべきだと思う。

リンク 若き英雄クー・フリン対強き女王メーヴ。古代アイルランドの英雄譚。キアラン・カーソン『トーイン クアルンゲの牛捕り』[2011年12月]|今月の本の話題|Webミステリーズ!

おすすめポイント

1. 解説が充実している

著者の解説がしっかりしている。読んでみたい人への文献案内も載っているので(主に英語になるが)次のステップに進むことができます。

それから、きちんと注釈がついている。これで、トーインに出てくる謎な単語やら登場人物の名前の意味やらを知ることが出来る。これだけ眺めてもなかなか楽しい。

クーフリンと戦ったナズ・クランティルという男が居ますが、この名前の妥当な翻訳として「尻から突き出した槍の柄」と真面目に書いてあるとか……。モブキャラなのに名前のインパクトが大きくて忘れられません。

あと忘れられないのは、〈ガイ・ボルガ〉(必中必殺投げ槍)がどのような武器であったかを説明しよう。から始まった説明がフェル・ディアズは、クー・フリンが放ったガイ・ボルガが「尻の穴」から体内に突入して死ぬ。で終わるところとかですかね……。(´・ω・`)

2. 文章のリズムがいい

古代英雄譚だからって、読みにくいなんてことはないです。むしろ、とても読みやすくリズムがいい。おそらくこれは訳者である栩木伸明氏の力でもあるでしょう。

栩木伸明氏はキアラン・カーソンの小説『琥珀捕り』の翻訳も手がけていますが、こちらも琥珀をテーマに巡っていくストーリーの中に溢れる薀蓄だのなんだの諸々面白いので、アイルランド神話とは直接関係ないがおすすめしておきたい(`・ω・´)

『シャムロック・ティー』は未だに読めていないです……。

リンク 琥珀捕り - キアラン・カーソン/栩木伸明 訳|東京創元社
リンク シャムロック・ティー - キアラン・カーソン/栩木伸明 訳|東京創元社

目次を読む

  • Ⅰ 寝物語とその後のなりゆき
  • Ⅱ 〈トーイン〉がはじまる
  • Ⅲ クー・フリンの正体がしだいに明らかになる
  • Ⅳ クー・フリンが少年時代にたてた数々の手柄
  • Ⅴ ゲリラ戦術
  • Ⅵ 対戦
  • Ⅶ メーヴの軍勢が褐色の雄牛を見つける
  • Ⅷ 大殺戮
  • Ⅸ クー・フリンとフェル・ディアズの決闘
  • Ⅹ ケセルンが受けたたくさんの傷
  • ⅩI 小競り合い
  • ⅩⅡ アルスター軍集結
  • ⅩⅢ 最後の戦い
  • 著者あとがき
    • キアラン・カーソン
  • 付録
    • もっと読んでみたいひとのために
    • 翻訳についての覚え書き
  • 訳者あとがきにかえて
    • クー・フリンとメーヴをめぐるトリビア 栩木伸明
  • 解説
    • 語りものの宇宙 あるいは遠近法以前の物語 井辻朱美

栩木伸明氏によるあとがきにかえて、「クーフリンとメーヴをめぐるトリビア」があるが、これも読み物として面白い。

この話(クアルンゲの牛捕り)ではクー・フリンの死は含みません。メイヴ女王と休戦協定を結んだところで終わります。

もしこれから先、誰かがクーフリンに関心を持ったとき、 Táin Bó Cúailnge が「日本語」で読めるというのは、本当に有り難いと思う。

気が向いたら原著も読みたいと思っている。Kindleは売り切れがないので、素敵ですね。(真顔)

この記事で紹介した書籍一覧

  • キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』 東京創元社(2011)