盛節子「『アイルランド侵入の書』考」を図書館で読んできた

2018年9月14日

次の論文を図書館向けデジタル化資料送信サービスを使って読むことが出来ました。

(1)の論稿では、「伝承文献の批判的分析を踏まえ、まず全体の構成とその内容を概要し、そこに示される著作の意図と構想を伝承・聖書・歴史的観点から検討を加えると共に、その宗教・歴史観を通して中世文化の性格に再考を試み」る。

(2)の論稿では、「追放と従属を象徴するフィル・ボルグとゲールに撃破されて地下と5地方に離散するトゥアサ・デ・ダナン及びフォモイルとの関わり、又ゲールの王権と三者それぞれの相関関係を通して、そこに介在する王権継承と婚姻・血族関係の法的・社会的側面並びに侵入諸族設定の聖書的要素を吟味・検討し、11-12世紀の王権及び修道院教会制度再編の時代的動向を視野に入れて一考を加え」る。

(以上、引用)

図書館でデジタル化資料送信サービスで読むことができたので、実質無料……大変嬉しいことです。

ルグとブレスの法的立場が対照的であるとか、『アイルランド侵入の書』に描かれているものに初期中世のアイルランドの政治・社会・宗教的状況や規範が投影されているとか面白くないですか?

『アイルランド侵入の書』について知りたいなら、ぜひ読んで見てくださいね。

ぼく
ぼく
……無料だよ!?

盛節子氏といえば『アイルランドの宗教と文化―キリスト教受容の歴史』も近い内に読み直さないとなあと思っています……。

目次を読む

『アイルランド侵入の書』考(1)──伝承・聖書・歴史的解釈をめぐって

Ⅰ.構成と内容

1. ノアの子孫としてのゲール語の起源と系譜、エジプト脱出からスペイン征服までの彷徨。

 (1) 導入部
 (2) ゲール民族(Gaedil)の起源と系図
 (3) ゲール人の彷徨

2. アイルランド侵入諸族

 (1) 導入
 (2) 大洪水前
 (3) パルソローン
 (4) ネメド
 (5) フィル・ボルグ
 (6) トゥアサ・デ・ダナン
 (7) ゲールの子孫ミールの息子達のアイルランド侵入と支配

3. アイルランド王国とターラ王権系図

 (1) キリスト教伝来以前の王権
 (2) キリスト教以後の王権

Ⅱ.伝承と歴史叙述

1. 伝承文献の批判的分析
2. 聖書的構想と中世の歴史観


英文要旨

『アイルランド侵入の書』考(2)──王権系譜の構想と歴史的背景

はじめに

I.侵入伝承と「マグ・トゥイレドの戦闘」

Ⅱ.法的側面

 1. 「姉妹の息子」と結婚制度
 2. 王権継承と里子制度

Ⅲ.ゲールの王権支配の構想

 1. ゲール王権と侵入諸族との相関関係
 2. 侵入諸族と聖書との関連
 3. アイルランド王権の動向

むすびにかえて


英文要旨