神話説話群:ケルト神話の人名語源(アイルランド)

2018年7月25日

バラル Balar

「閃光を発する者」の意。別名バロル(Balor)。1

ブレス Bres

「美しき者」の意。2

本来の名はエオフ Eochu である。ブレス(美しき者)というあだ名は、父親エラタが〈アイルランドの美しいものは全てブレスと比べられるだろう〉と予言したことにちなむ。3

ボアンド Bóand

「白い牝牛」を意味するBo-Vindaに由来。4

bowo-winda-(「白い雌牛」)に由来(2世紀の地理学者プトレマイオスの書いは bououinda という本来の形が見られる)。5

カイル・イヴォルメト Caer Ibormeith

カイルは「球状の塊、滴」、イヴォルメトは「イチイの実」の意。6

ダグダ Dagda

「善良な神」の意。
エオヒド・オラティル Eochaid Ollathair(偉大な父エオヒド)や、ルアド・ロエサ Ruad Rofesa(知に富む偉大な者)という異名もある。7

ディアン・ケーフト Dian Cecht

「迅速に事を運ぶ力の持ち主」の意。8

ミディル Midir

「粗暴な」の意。ミディルは、碑文に認められるガリアの神メドゥロス Medros に対応すると考えられる。9

モリーガン Morrígain

『コルマクの語彙集』(900年頃成立)によると「夢魔の女王」。後世には「大女王」と解釈された。10

ヌアドゥ Nuadu

「捕まえる者」、「雲を作る者」などの説がある。
アルガドラーウ(Argatlam:銀の手の)という異名を持つ。11

オイングス Oengus, Aongus, Aoughas

Aonghasの語源はゲール語aon(one)+ghus(choice)からなる名前で「選ばれた者」が原義。12

「唯一の選択」の意。13

参考書籍

  • 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013)
  • 梅田修 『ヨーロッパ人名語源事典』 大修館書店(2000)
  • 松村一男, 森雅子, 沖田瑞穂 編 『世界女神大事典』 原書房(2015)
  • ベルンハルト・マイヤー, 鶴岡真弓 監修, 平島直一郎 訳 『ケルト事典』 創元社(2001)

  1. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.416 
  2. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.458 
  3. ベルンハルト・マイヤー, 鶴岡真弓 監修, 平島直一郎 訳 『ケルト事典』 創元社(2001), pp.199 「ブレス」 
  4. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.490 
  5. 松村一男, 森雅子, 沖田瑞穂 編 『世界女神大事典』 原書房(2015), pp.347 
  6. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.169 
  7. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.308 
  8. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.327 
  9. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.523 
  10. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.541 
  11. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.384 
  12. 梅田修 『ヨーロッパ人名語源事典』 大修館書店(2000), pp.297 
  13. 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.146