赤枝説話群:ケルト神話の人名語源(アイルランド)

2019年3月2日

アリル Ailill

「幽霊」の意。1松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.60

ブリクリウ Bricriu

「多色の」「色とりどりの」を指すアイルランド語 brecc と関連付けられる。2松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.452

コナル・ケルナハ Conall Cernach

コナルは「狼のように強い」という意味、ケルナハは「勝利を得た」の意。3松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.235

コンホヴァル Conchobar

Conchobarの-chobarは「愛する人」という意味で、この名の原義は「猟犬を愛する者」である。Conchobarは英語化されてコナー(Connor)となるが、コン(Con)やコニー(Conny)はその愛称形。4梅田修 『ヨーロッパ人名語源事典』 大修館書店(2000), pp.298

『神の文化史事典』では「犬の助け」の意と説明している。5松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.241

クー・フリン Cu Chulainn

ク(Cu)は、アイルランドで特に好まれる名前の要素であり、ク・コナハト(Cu Chonachat:コナハト人の猟犬)とかク・モイ(Cu Maige:平野の猟犬)のように、氏族名や地名などとともに名前を構成した。6梅田修 『ヨーロッパ人名語源事典』 大修館書店(2000), pp.297

従ってCu Chulainnは「クランの犬」という意味になる。

【まとめ】クー・フリン Cuchulainn(アイルランド神話・赤枝説話群)

デヒティネ Deichtine

古アイルランド語 decht(「純粋な」、「洗練された」)と関連。従来の説ではラテン語 dextera(「右」、「公明正大」)との関連を重視。7松村一男, 森雅子, 沖田瑞穂 編 『世界女神大事典』 原書房(2015), pp.342

デルドレ Deirdre

「危険」の意。古い語形はデルドリウ(Derdriu)。8松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.349

フェル・ディアズ・マク・ダワーン Ferdiad mac Daman

フェル・ディアズ 「二人組の一人」。 あるいは、「煙の男」と解釈することも可能な名前。9キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』(海外文学セレクション) 東京創元社(2011), pp.335

フェルグス・マク・ロイヒ Fergus mac Roich

ファーガス(Fergus)は、ゲール語ではファリース(Fearghas)。 Fear(man)+gus(vigor:力)からなる名前であり、「勇者」や「強者」を意味する名前。Fearはラテン語vir(男)と同族の言葉であり、この言葉は生殖力としての男性原理を意味する言葉でもある。10梅田修 『ヨーロッパ人名語源事典』 大修館書店(2000), pp.309

フェルグスは「男らしさ」、ロイヒは「種馬」の意。11松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.440

イヴァル・マク・リアンガブラ Ibar mac Riangabra

イヴォル 「イチイの樹」を意味する名前。12キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』(海外文学セレクション) 東京創元社(2011), pp.331

ロイグ・マク・リアンガブラ Loeg mac Riangabra

ライグ この名前は「子牛」を意味する。13キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』(海外文学セレクション) 東京創元社(2011), pp.326

【まとめ】ロイグ・マク・リアンガヴラ Loeg mac Riangabra(アイルランド神話・赤枝説話群)

ノイシュ Naoise

「尊敬されている男」の意。「名声」を指す nos の属格第二形。14松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.393

スカータハ Scathach

「恐怖を与える者」の意。15松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013), pp.280

シェーダンタ Setanta

クー・フリンの幼名であり本名。 意味は「道を進んでいく者」を意味する。(ブリトニック諸語の「道」という名詞が認められる)16ジャン・マルカル 著, 金光仁三郎・渡邉浩司 訳 『ケルト文化事典』 大修館書店(2002)

プトレマイオスの記述によれば、この名前は、今日のイングランドのランカシャーにあたる地域に住んでいた、ケルト系部族のシェダンティ族《Setantii (also Segantii or Sistuntii)》とおそらく関係がある。シェダンティ族の一団がアイルランド海を越えて、ラウズ州に住みついたのかもしれない。彼らには、部族名の起源となったセントノティウスという神がいたと考えられているが、その神の名は「道を行く人」を意味するので、「小径」または「道路」を意味するシェトからシェーダンタが派生したと考えても不自然ではない

キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』(海外文学セレクション) 東京創元社(2011), pp.330
【まとめ】クー・フリン Cuchulainn(アイルランド神話・赤枝説話群)

参考書籍

  • キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』(海外文学セレクション) 東京創元社(2011)
  • 松村一男, 平藤喜久子, 山田仁史 編 『神の文化史事典』 白水社(2013)
  • 梅田修 『ヨーロッパ人名語源事典』 大修館書店(2000)
  • ジャン・マルカル 著, 金光仁三郎・渡邉浩司 訳 『ケルト文化事典』 大修館書店(2002)
  • 松村一男, 森雅子, 沖田瑞穂 編 『世界女神大事典』 原書房(2015)

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