『ケルトの古歌『ブランの航海』序説―補遺 異界と海界の彼方』松村賢一(中央大学出版部)

はしがきによると、中央大学人文科学研究所 編 『ケルト 伝統と民俗の想像力』(1991)所収の「冒険と航海の物語」ならびに、『ケルト 生と死の変容』(1996)所収の「異界と海界の彼方」をそれぞれ稿を改めてまとめたもののようだ。

125頁で手で持ってみるとそんなに厚さはないのだが、説明が濃い。

目次を読む

  • はしがき
  • 第1章 冒険と航海の物語
    • 一 『コンラの冒険』と異界行
    • 二 『マールドゥーンの航海』と海上巡礼
  • 第2章 『フェヴァルの息子ブランの航海と冒険』
    • 一 写本について
    • 二 韻律
    • 三 原典
    • 四 日本語訳
  • 第3章 異界への旅
  • 補遺 異界と海界の彼方―アシーンと浦島伝説をめぐって
  • 初期アイルランド文学研究のための基本文献一覧
  • 索引

読んだ後で

原典に直接取り組んで翻訳している。(英語からの重訳ではない)

『ブランの航海』は7世紀頃に成立したと考えられている古い物語だが、アイルランド語による原典が全文掲載された後に日本語訳を読むようになっている。

研究者向けに書かれているのだろうが、一般読者としてアイルランドの航海譚が読みたいなら、とりあえずこれを探せば詳しい解説と共に読むことができるのではないだろうか。

基本文献一覧が入っていて、それらはほぼ英語で書かれたものになるが、盛節子氏による『アイルランドの宗教と文化 キリスト教受容の歴史』 日本基督教団出版局(1991)だけは日本人研究者によるもの。しかし絶版。

……図書館って素敵ですね!

記事で紹介した書籍

  • 中央大学人文科学研究所 編 『ケルト 伝統と民俗の想像力』(中央大学人文科学研究所研究叢書8), 中央大学出版部(1991)
  • 中央大学人文科学研究所 編 『ケルト 生と死の変容』(中央大学人文科学研究所研究叢書16), 中央大学出版部(1996)
  • 松村賢一 『ケルトの古歌『ブランの航海』序説』(中央大学学術図書44), 中央大学出版部(1997)
  • 盛節子 『アイルランドの宗教と文化 キリスト教受容の歴史』 日本基督教団出版局(1991)