テキサス大学のサイトに古アイルランド語の学習コンテンツがあった

2018年9月3日

どうも、櫟野もり(@1no_mori)です!

テキサス大学オースティン校(The University of Texas at Austin)のサイトで古アイルランド語のオンラインレッスンが公開されていた。

上の順で進んでいくと辿り着きます。
もちろん英語なんだけども、語彙の解説付きなのでわかりやすそう……、かな?

わかるようになりたいですね……。

使用するテキストについて

  1. Compert Con Culainn ‘The Conception of Cu Chulainn’, part of the Ulster Cycle
  2. Táin Bó Regamna ‘The Cattle Raid of the Important Calf’, also part of the Ulster Cycle
  3. Táin Bó Regamna (continued)
  4. Táin Bó Regamna (conclusion)
  5. Comrac Liadaine ocus Cuirithir ‘The Encounter of Liadain and Cuirithir’
  6. Audacht Morainn ‘The Testament of Morann’
  7. Immram Brain ‘Bran’s Voyage’
  8. Fingal Rónain ‘The Kin-slaying of Ronan’
  9. Lebor Gabála Érenn ‘The Book of the Taking of Ireland’
  10. Aislinge Meic Con Glinne ‘The Vision of Mac Con Glinne’

邦題はベルンハルト・マイヤーの『ケルト事典』に項目があるものはそれに準拠する。

『クー・フリンの誕生』
『レガヴナの牛捕り』(?)
『リーアダンとクーイルスィルの逢瀬』
『モランの遺言』
『ブランの航海』
『ローナーンの息子殺し』
『アイルランド来寇の書』
『マッコングリニの夢想』

それぞれの話について知りたい

それぞれどんな話なのか、日本語で解説されたものはあるか、私が知っている範囲で少しまとめておく。……分かる範囲で!
内容を頭に入れてから挑戦したいと思う。(つまりまだ挑戦できてない)

『クー・フリンの誕生』 Compert Con Culainn

タイトルのまま、アルスター説話群の英雄クー・フリンの誕生話です。英雄誕生譚で、異界性と神性と近親相姦的要素が絡んでいます。

どういったあらすじになっているか、読んでみたいなら、ローズマリー・サトクリフの『ケルト神話 炎の戦士クーフリン』(ほるぷ出版)、もしくは名著普及会の『世界神話大系 アイルランドの神話伝説』〈40-41〉がおすすめです。
これらの書籍については、紹介記事を書いているので、よかったらご覧下さい。

過去記事 『世界神話大系 アイルランドの神話伝説』〈40-41〉八住利雄 編(名著普及会)

過去記事 『ケルト神話ファンタジー 炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール』ローズマリー・サトクリフ(筑摩書房)

『レガヴナの牛捕り』(?) Táin Bó Regamna

クー・フリンの前にモリーガンが出現する話です。日本語での紹介はちょっと見当たりませんでした……。

『リーアダンとクーイルスィルの逢瀬』 Comrac Liadaine ocus Cuirithir

マイルズ・ディロン『古代アイルランド文学』で説明があります。

過去記事 『古代アイルランド文学』マイルズ・ディロン(オセアニア出版)

リーアダンという女、クーイルスィルという男はともに詩人で、リーアダンは修道院に入り、その後をクーイルスィルが追う。
二人は聖カミーニの指導の下に身を置く。二人が言葉をかわすことを許されるが、顔を合わすことは初め許されなかった。のちに聖カミーニは二人に一緒の床につくことを許す(罪を犯さないよう、二人の間には子どもが一人置かれた)。しかし彼らは試練に失敗し、クーイルスィルはよその修道院に遣られてしまう。

『モランの遺言』 Audacht Morainn

伝説の法官モランによるとされる、正義と美徳を教える格言集。《王者の正義》フィール・ヴラテウォン(Fír flathemon)をアイルランド王に教えています。
王の正義によって平和と平穏と喜びと安穏と安楽を保つことができる。松岡利次 『ケルトの聖書物語』 岩波書店(1999)

モランの遺言についてというわけではないですが、ピーター・トレメイン(ピーター・ベアレスフォード・エリス)の『修道女フィデルマ』シリーズの主人公フィデルマは、高名なブレホンのモラン師の学問所で学んだことになっているが……そのあたり意識しているのでしょうか。

『ブランの航海』 Immram Brain

これについては松村賢一の『ケルトの古歌『ブランの航海』序説』をお読みいただくのが一番かと思います。

過去記事 『ケルトの古歌『ブランの航海』序説―補遺 異界と海界の彼方』松村賢一(中央大学出版部)

『ローナーンの息子殺し』 Fingal Rónain

マイルズ・ディロン『古代アイルランド文学』もしくは、慶應義塾大学出版会から出ている『恋の研究』所収の、辺見葉子氏による論考「エヘドの娘の「恋」─中世アイルランドの文脈」で取り上げられています。

過去記事 『ローナーンの息子殺し』Fingal Rónáin(初期アイルランド文学・歴史物語群)

『アイルランド来寇の書』 Lebor Gabála Érenn

名著普及会の『世界神話大系 アイルランドの神話伝説』〈40-41〉や、ぽぷら社から出ている『国際理解にやくだつ世界の神話(5) ヨーロッパの神話』に入っています。

過去記事 『国際理解にやくだつ世界の神話(5) ヨーロッパの神話』(ポプラ社)

過去記事 『世界神話大系 アイルランドの神話伝説』〈40-41〉八住利雄 編(名著普及会)

『マッコングリニの夢想』 Aislinge Meic Con Glinne

松岡利次の『ケルトの聖書物語』及び『アイルランドの文学精神──7世紀から20世紀まで』、マイルズ・ディロン『古代アイルランド文学』に詳しいです。

11世紀に書かれたパロディ文学で、さまざまなジャンルのアイルランド文学をもじっています。

メルヘン文庫から出ている『ケルト民話集』〈1-3〉ジョセフ・ジェイコブス(木村俊夫, 山田正章 訳)の2巻に「マッコングリニーの夢」として収録されています。

過去記事 『ケルト民話集』〈1–3〉ジョセフ・ジェイコブス(メルヘン文庫/東洋文化社)

記事で紹介した書籍一覧

  • ローズマリー・サトクリフ, 灰島かり 訳, 金原瑞人, 久慈美貴 訳 『ケルト神話ファンタジー 炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール』 (ちくま文庫) 筑摩書房(2013)
  • ローズマリー・サトクリフ, 灰島かり 訳 『ケルト神話 炎の戦士クーフリン』 ほるぷ出版(2003)
  • マイルズ・ディロン 著, 青木 義明 訳 『古代アイルランド文学』 オセアニア出版(1987)
  • 松岡利次 『アイルランドの文学精神 7世紀から20世紀まで』 岩波書店(2007)
  • 松岡利次 『ケルトの聖書物語』 岩波書店(1999)
  • 八住利雄 編 『世界神話大系40 アイルランドの神話伝説』 名著普及会(1981)
  • 八住利雄 編 『世界神話大系41 アイルランドの神話伝説』 名著普及会(1981)
  • 柴田陽弘 編著『恋の研究』 慶應義塾大学出版会(2005)
  • 吉田敦彦 監修, 辺見葉子・伊藤盡 編著 『国際理解にやくだつ世界の神話(5) ヨーロッパの神話』 ポプラ社 (2000)
  • 松村賢一『ケルトの古歌『ブランの航海』序説』 中央大学出版部(1997)