クー・フリンと場所:ムルセウネの地名の意味は「暗黒の海原」

2018年8月22日

キアラン・カーソンの『クアルンゲの牛捕り』の付録の注を読むの、なかなかおもしろい。

例えばあの有名なムルセウネのクーフリンさながら(p.23)とフェゼルムが言っているところがあるが、注を読むと、ムルセウネにはこんな話があるらしい。

*3 ムルセウネ
ラウズ州の海岸線沿いに、ボイン川からクーリー山地まで広がっている平原。『地名説話詩集』(Metrical Dindshenchas, 5 vols., 1903-06, 1935)によれば、この地名は「海原の暗黒」または「海原の屋根の下」を意味する。「この土地は大洪水の後三十年間海の下にあった」のがその理由である。
キアラン・カーソン, 栩木伸明 訳 『トーイン クアルンゲの牛捕り』 東京創元社(2011)

ディンヘンハスから原文を探してみる

この~によれば、の原文はInternet Archive で確認することができました。

Gwynn, E. J., The metrical dindsenchas, 5 vols, vol. 4, Todd Lecture Series 11, Dublin: Hodges, Figgis, 1924.

CELT: The Corpus of Electronic Texts のサイトでも公開されているので、 英訳は The Metrical Dindshenchas 4(English) から探す方が見やすいかもしれないです。

アイルランド語の原文は The Metrical Dindshenchas 4 からどうぞ~。

p.295 に Mag Muirthemne の項目があり、これが元かな。

Mag Muirthemne, whence the name? Not hard to say. The sea covered it thirty years after the Flood, and hence it is called Muirthemne, that is, ‘darkness of the sea’, or ‘it is under the sea’s roof’. Or there was a magic sea over it, and an octopus therein, having a property of suction. It would suck in a man in armour till he lay at the bottom of its treasure-bag. The Dagda came with his ‘mace of wrath’ in his hand, and plunged it down upon the octopus, and chanted these words: ‘Turn thy hollow head! Turn thy ravening body! Turn thy resorbent forehead! Avaunt! Begone!’ Then the magic sea retired with the octopus; and hence, may be, the place was called Mag Muirthemne.

なんかダグダが、タコを立ち退かせていて面白い……ですね? ですね……?

よく出てくる、Not hard to say, って言い回しが割と好きです。
難しくないと宣言されると少し安心しますね。