『アイルランド : 歴史と風土(岩波文庫)』オフェイロン(岩波書店)

2018年8月1日

アイルランドの作家ショーン・オフェイロン(Sean O’Faolain, 1900/02/22-1991/04/20)の書いた”THE IRISH”(1947)の邦訳です。

緒言によると、本書はアイルランドの政治史ではなく、「アイルランド民俗精神の発展の歴史、あるいは、心理の歴史」、そして「(おおげさでなければ)国家としてのアイルランドの文明の発達史」だと書いてある。

アイルランドの作家が書いてて日本語で文庫で読めて手軽で自分としては好きな一冊です。が、品切れになっている……(´・ω・`)

リンク アイルランド - 岩波書店

最近、アイルランド史についての本は山川出版社から『アイルランド史 (世界歴史大系)』が出版されたので、今アイルランド史知りたいって人はこれ読むのが一番いいのかなと思うんですが、文庫はバス電車の中でも読みやすくていいですよね。復刊か電子書籍化されないかな……。

阪南大学のページに同書を「おすすめの一冊」として紹介してあるページがあって、わかりやすかった……。是非是非『アイルランド 歴史と風土』手にとって読んでね。

リンク おすすめの一冊【2017年12月】「アイルランド―文学のレガシー―」和田渡(阪南大学 名誉教授)

アイルランドの文化史を樹木に例えて語っていくので「歴史」としての面白さもあるのですが、アイルランド独立運動にも参加した作家が故国のことをどう考えているか興味があるし、ショーン・オフェイロンの作家論もアイルランド文学好きとしては読んで損はないですね。

あと「政治家」の章でクー・フリンとウィリアム・テルを例えに出したこの部分がめちゃくちゃ好きです。

スイスに住んでいる私の友人の画家が語ったところでは、時代を憂えるスイス人の間で話題になる今日の問題は「今はなんでもある! しかしウィリアム・テルはどこに行ってしまったのか」ということだそうだ。私たちアイルランド人は彼らに答えを与えることができるだろう。ウィリアム・テルは私たちのクーフリンと一緒にケリーかティペラリーの工場をおそらく経営しているのだろう。オフェイロン, 橋本槙矩 訳 『アイルランド―歴史と風土 (岩波文庫)』 岩波書店, 1997, pp.249

いい意味で言ってないのはわかりすぎるのに、思わず笑ってしまう切り返しのこのセンス……。

目次を読む

緒言

第一部 根

  • 1 ケルト人とは
  • 2 偉大な神々の死
  • 3 詩人たちの世界
  • 4 現実の社会

第二部 幹

  • 5 基本的対立
  • 6 ノルマン人の贈物
  • 7 宗教的対立

第三部 六つの枝

  • 8 新農民
  • 9 アングロ・アイリッシュ(英国系アイルランド人)
  • 10 反逆者
  • 11 司祭
  • 12 作家
  • 13 政治家

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  • 補遺
  • 原注
  • 訳注
  • 訳者あとがき

この記事で紹介した書籍

  • オフェイロン, 橋本槙矩 訳 『アイルランド―歴史と風土 (岩波文庫)』 岩波書店(1997)