クーフリンの御者ロイグ・マク・リアンガヴラの家族たち

2017年12月2日

赤枝説話群、クーフリンの御者・ロイグ・マク・リアンガヴラに血縁ありそうな人たちだけ Irish Lore, Gods, Demigods, Heroes, Symbols, and Other Famous Mythological Characters から抜く、俺得メモ。

……兄弟と父親については名前はよく見るけど、母と姉妹の名前まで載せてるのはこれが初めてだったものですから。ずっと気にしていましたが実際に話の中で見たこと無いので、どれに登場してるのか未だにつかめてないです。

追記(2015/7/4):多分これだろう、というのを見つけたので追記しました。

Etan(エーディン)
Daughter of Riangabair and Finnabair. Sister of Id and Laeg.
リアンガヴァルとフィナバールの娘。イドとロイグの姉妹。
Finnabair(フィナバール)
Wife of Riangabair. Mother of Etan, Id and Laeg.
リアンガヴァルの妻。エーディン、イドそしてロイグの母。
Id(イド)
Son of Riangabair and Finnabair. Brother of Etan and Laeg. He was a charioteer for Conall Cearnach.
リアンガヴァルとフィナバールの息子。エーディンとロイグの兄弟。彼はコナル・ケルナハの御者である。
Riangabair(リアンガヴァル)
Husband of Finnabair. Father of Etan, Id and Laeg.
フィナバールの夫。エーディン、イドそしてロイグの父。
Laeg(ロイグ)
Son of Riangabair and Finnabair. Brother of Etan and Id. Charioteer to Cuchulainn. In the final battle in which Cuchulainn was killed, Laeg shielded his master with his own body and caught the spear hurled by Laoghaire.
リアンガヴァルとフィナバールの息子。エーディンとイドの兄弟。クー・フーリンの御者。クー・フーリンが殺された最期の戦いで、ロイグは身体を張って主人をLaoghaireから放たれた槍から守った。

――以上。

では、それぞれについて書いていきます。

リアンガヴァル・フィナバールRiangabair・Finnabair

両親であるリアンガヴァルとフィナバールについて、ぐぐってみる。

どうやら The Yellow Book of Lecan に入ってる “The Exile of the Sons of Doel the Forgotten (Longes mac nDuil Dermait) “の中で、ロイグが Riangabair and Finnabair の息子って話しがあるらしい?

The Mythology of all races . (by Gray, Louis H. (1916)) のなかの、149頁から(通しで読んでいる訳ではないので、とりあえず保留)。

The story of The Exile of the Sons of Doel the Forgotten (Longes mac nDuil Dermait) opens with a version of Bricriu’s Feast. Cúchulainn had been cursed by Eocho Rond to have no rest until he discovered why Doel’s sons left their country.

With Loeg and Lugaid he captured the ship of the King of Alba’s son, who gave him a charm; and thus they reached an island with a rampart of silver and a palisade of bronze, while on it was a castle where dwelt a royal pair — Riangabair and Finnabair — with three beautiful daughters.

These welcomed them, because Loeg was their son; and Riangabair told Cúchulainn that the sister of Doel’s sons and her husband were in a southern isle. In the morning Cúchulainn gave a ring to Etan, one of the daughters, who had slept with him, and then sailed for the isle.

「クーフリンは、Eocho Rond から呪われ、Doelの息子たちが彼らの国を去った理由を知るまで休むことができない。ロイグとルギドと一緒に、彼はアルバ王の息子の船を捕えた。(gave him a charm……まじないをかけたアルバ王の息子?)

そして、彼らは銀の城壁とブロンズの柵のある島に到着し、城には三人の美しい娘と一緒に立派な夫婦(pair)――Riangabair and Finnabair――が住んでいた。

彼らは一行を歓迎した。なぜなら、ロイグは彼らの息子だったのである。そしてリアンガヴァルはクーフリンに、Doelの息子達の姉妹と、その夫は南の島に住んでいると言った。朝、クーフリンは一緒に寝た一人の娘Etanに指輪を渡した。それから、その島へ向かった。」

……後半、多分意味を取り間違ってるような気がするのだけど、こんな感じでしょうか?
ロイグのお姉さんらしき人も出てきましたが一緒に寝た……のか?(who had slept with him)

ちなみに、この話はレディー・グレゴリーの『ムルテムニーのクーフリン』(Cuchulain of Muirthemne, by Lady Augusta Gregory, [1902])のなかに SONS OF DOEL DERMAIT として入っています。(RiangabairやFinnnabairの名前は出ませんが)

他にも、Thurneysen, Rudolf “Die irische Helden- und Königsage bis zum siebzehnten Jahrhundert” に、Fled Bricrend ocus Longes mac nDuil Dermait という章が入っていたんですけど……(ドイツ語)。

どうも、うまく把握できてないので精進します。

ロイグ・マク・リアンガブラLoeg mak Riangabra

(名前の表記は『ケルト事典』ベルンハルト・マイヤー著 のものに従っています)

アルスター神話群に登場するクー・ホリンの戦車の御者であり、忠実な従者。

クー・ホリンは、戦いに出かけるとき乗っていく、大鎌をつけた戦車を持っており、その御者レーグ(ロイグ)自身も超自然的力をもっている。
『ケルト神話・伝説辞典』p100 ミランダ・J・グリーン著 東京書籍

その超自然的力というのが、同書のクーフリンの項によると

彼の戦車の御者は、魔法をかけて戦車を見えなくすることができる。

というもの。光学迷彩を使えるのか……?

名前の意味については、『トーイン クアルンゲの牛捕り』キアラン・カーソン著 付録の注にライグ(ロイグ) この名前は「子牛」を意味するとある。

ローズマリー・サトクリフの『ケルト神話 炎の戦士クーフリン』では、ロイグは

牛争いで殺されたレンスターの貴族の息子で、自分の身に何が起こったのかわからないほど幼かったころに、人質としてコノール王のもとに連れて来られた

ことになっているけど一体何が元ネタなのかさっぱりわからないんですが……。
うーん探したりないのだろうか。

ロイグの容姿

話は変わりますが、ロイグの容姿に関する話をひとつ。

上に載せたイラストだと、黒髪クーフリンの横にいる髭面のおっさんがロイグなのだろうかと小一時間悩むんですが、名著普及会(編)『世界神話伝説大系40 アイルランドの神話伝説1』にある、ウルトニアンの物語 《7.クフーリンの求愛》の中での御者の容姿の描写は、華奢で優男そうなイメージがあってとても好きだ。

その若い男と一緒に、御者らしい男が乗っております。その御者は、背の高い、華奢な男です。そしてそばかすの多い男です。捲毛を、青銅のピンでとめています。そして顔の両側には、鎧の板金を垂らしています。赤く塗った黄金の突棒で馬を走らせております

ヘアピン男子にまた小一時間(ry

次はちょっと幼さの残るクーフリンと御者のイラスト。
トーイン時点でのクーフリンの年齢は17歳とよく見るのですが、そのくらいなんでしょうか。

とても可愛いです。

Cuculain and Laeg Returning from their First Foray. (O’Grady, Standish. The Coming of Cuculain. London: Methuen, 1894. Illustration by D. Murray Smith.) / Google Photos

イヴァル・マク・リアンガヴァルIbar mac Riangabair

リアンガヴァルの息子で英雄クー・フリンの御者と言えば、ロイグだけど、その前にイヴァル兄さんの存在を忘れちゃいけないだろJK(常識的に考えて)。

名前の意味については、『トーイン クアルンゲの牛捕り』キアラン・カーソン著 付録の注にイヴォル(イヴァル) 「イチイの樹」を意味する名前とある。

イヴァルはクー・フリンの御者であるが、より厳密にはクー・フリンがシェーダンタと名乗っていた頃の御者である。イヴァルは、クー・フリンがまだ5歳か7歳の頃に最初の武勲を立てた時にクー・フリンのお供をしていた。
『ケルト文化事典』 ジャン・マルカル著

Ibar son of Riangabra was a charioteer for Conchobar. Conchobar told him to harness his horses to his chariot and drive for Cu Chulainn on the day that he took up arms.

Ibar drove Cu Chulainn to Finncarn and from there he named all the mountains, plains and major raiths between Temair and Cenannos for him.

It was on this trip that Cu Chulainn killed the 3 sons of Necht Scene.
『The Celtic Encyclopedia, 第 3 巻』 Harry Mountain著

「リアンガヴラの息子イヴァルはコンホヴァル王の御者である。コンホヴァルは彼に、馬具を彼の戦車につけ、クー・フリンのために運転するよう、クー・フリンが武器を手に取った日に言った。

イヴァルはクー・フリンをFinncarn(フィンカルン:白石塚)まで連れていき、そこから、テウィル(タラ)とケナナス(ミーズ州ケルズにあたる土地)の間のすべての山、平原、目立った砦の名前を言った。

この外出はクー・フリンがネフタンの3人の息子を殺すシーンである。」

もともとコンホヴァル王の御者だったので、ロイグがクーフリンの御者になった後は……元の通り、王の御者に戻ったりするんでしょうかね……?

イド・エーンId mac Riangabra・Sedlang

ロイグはイヴァル(Ibar)の他にも兄弟が居るようです。

  • Sedlang Mac Riangabra (a charioteer of Laegaire Buadach)
  • Id Mac Riangabra (a charioteer of Conall Cernach)

Sedlangが栄光のライリー、Idがコナル・ケルナハの御者らしい。

つまり彼らは四人兄弟ということになるのかな。いや、お姉さんらしき人物エーディンも加えたら、五人兄妹(姉弟?)なんですけども……。

『トーイン クアルンゲの牛捕り』(キアラン・カーソン著)では、コナル・ケルナハの御者は エーン (「鳥」を意味する名前)となっている。

Id mac Riangabra に関しては『The Celtic Encyclopedia, 第 3 巻』にDriver for Ferdiad とあるので、フェルディアの御者も務めていたらしいけども。(フェルディアの死後、コナルの御者になった)

Id macRiangabra

Id son of Riangabar was the charioteer for Ferdiad and a brother of Laeg, the charioteer for Cu Chulainn. In preparation for the combat between Ferdiad and Cu Chulainn, Id should have bolstered the spirit of his master but instead he praised the virtues of Cu Chulainn and spoke doom and gloom to Ferdiad.

When Cu Chulainn and Ferdiad were fighting at the ford (Ath Ferdiad), Id lacked the courage of his brother and when he tried to stop Laeg from arming Cu Chulainn with the Gae Bolga, he was beaten by his brother.

After the death of Ferdiad, Id became a charioteer to Conall Cernacht, which allowed him to change camps from Connacht to Ulster and raises the question of loyalty to his previous master.
『The Celtic Encyclopedia, 第 3 巻』 Harry Mountain著

「リアンガヴァルの息子 Id はフェルディアの御者で、クー・フリンの御者ロイグの兄弟だった。フェルディアとクー・フリンの戦闘に備えて、Id は主人(フェルディア)を励ますべきだったが、しかしその代わりに Id はクー・フリンの美点(長所・徳目)を称賛し、暗い運命をフェルディアに話した。

クー・フリンとフェルディアが浅瀬――フェルディアの浅瀬――で戦っていた時、Id は勇気が足りず、クー・フリンがガイ・ボルガで武装する時ロイグ(兄弟)を止めようとしたけれども、ロイグに負かされてしまった。

フェルディアの死後、Id はコナル・ケルナハの御者になり、コナルが陣営をコナハトからアルスターに変えることを許し、彼の前の主人(フェルディア)への忠誠の問題を起こした。」

追記(2015/7/4):

エーンがロイガレの御者で、イドがコナルの御者というのは、ブリクリウの饗宴の中で名前が出てきていた。

イドについては、Joseph Dunn “The Ancient Irish Epic Tale Táin Bó Cúalnge” のなかに、

Thus were the henchmen: two brothers were they, namely, Id son of Riangabair, and Laegc son of Riangabair.

と出てきます。フェルディアの御者として名前付きで登場してくる。注にも、フェルディアの御者(Ferdiad’s charioteer)とあるんですけど、あまり名前見ることはないですね。

個人的に、アルスター説話群で好きなのはロイグがダントツです。何故か。

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櫟野もり(Ichino Mori)

ゲームばかりしながらアイルランド神話関係の雑記を書いたりしている。
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